政治的行動

 

5.持続可能性の諸原則にもとづく経済的グローバリゼーションの制御

 

5.0  世界の上位100の経済組織のうち、53は企業体である。政府間の裏取引によって、 政府は公共財よりも際限なき経済活動を優先させる法体系を構築し、企業体の福利厚生を保護し、社会福祉に攻撃の手を加え、国民経済を1日あたり30億ドルに及ぶ、投機取引における地球規模の金融カジノの意のままにさせている。グローバルな金融危機は、あらゆる経済領域において、流動性と不安定性を増大させ、相対的に貧困な個人、集団および国家に極めて甚大な影響を及ぼしている。IMF(国際通貨基金)および世界銀行は、この危機の解決策の一役を買うどころか、危機の拡大要因となっている。それらの組織の基盤となっている必要条件は、グローバルな、持続可能で公正な経済システムの創造に適合していない。

 

グリーンズのメンバーは、

5.1  水などの生活必需品は、公的に所有され管理されつづける必要があることを確認する。さらに文化や食糧、公衆衛生、教育、および自由なメディアに最低限アクセスできる権利は、国際市場協定にもとづく「商標権」ではないことを確認する。

 

5.2  国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、地球環境ファシリティー(GEF)を単一機関に統合して世界環境機構(WEO)を創設し、そこで地球規模での持続可能な発展を促進させるために、資金調達や制裁権を行使できるよう支援する。世界貿易機関(WTO)はこの統合組織の決定に服さねばならない。

 

5.3  世界銀行およびIMFへの加盟条件や意思決定が民主化され、その諸々の活動が持続可能性の諸原則および人権や労働権、さらには環境保護に関するあらゆる国際協定に従うよう、世界銀行とIMFの抜本的な改革を行うことを支持する。

 

5.4   WTOが、透明で民主的な意思決定過程と、被害を受けた地域コミュニティの代表者が参加することによって支持され、持続可能性をその中心目標に据えるよう、WTOの抜本的改革を行うことを支持する。さらにWTOの排他的競争により生じた紛争解決メカニズムを除去するため、権限分掌がなされねばならない。新しいラウンドに移行する前に、既存の交渉ラウンドに対する持続可能性の影響評価が必要である。

 

5.5  WTOルールにもとづく、地域間もしくは半地球規模での新たな貿易および投資協定――たとえば懸案の全米大陸自由貿易協定(FTAA)など――の実施を阻止するよう働きかける。ただし国民の福祉および環境の持続可能性を保証する諸国間の統合手続きを進めることについては、これを支持する。

 

5.6   金融および経済体制ないしは組織が、あらゆるレベル(地域、地方、国家、国際レベル)で地域コミュニティを存続させる、環境面での持続可能なプロジェクトを育成ないしは擁護する、ひとつの地球環境を創造する。

 

5.7   環境および労働条件、健康に関する国際協定が、貿易に関するあらゆる国際ルールに優先されるよう要求する。

 

5.8   トービン=ヘンダーソン税もしくは金融取引税、および他の諸手段を実施し、投機的国際金融取引を減少させるよう働きかける。さらに実体経済における投資を奨励する支援を行うとともに、地球規模の開発における公正さを促進させるための基金を創設するよう働きかける。

 

5.9  企業に対し、その母国もしくは経営基盤を置く国のいずれか、より制約が厳しい方の環境法、労働法および社会法を遵守するよう、働きかける。

 

5.10  あらゆるグローバルな組織、とりわけ国際貿易ルールを規定する重要な役割を担う組織が、持続可能な開発原則を厳守するとともに、この目標を完全に達成するため、文化の変容に関する学習プログラムを遂行するよう働きかける。

 

5.11  透明で、社会福祉と同レベルの説明責任を果たす企業の福利厚生を要求するとともに、環境上および社会上の破壊活動への助成を、すべて一斉に廃止させる。

 

5.12  経済的グローバリゼーションにより生じた社会的排除への対抗措置として、地域社会ベースの経済を促進させるため、市民の起業活動の発展を支持する。